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待ったをかける歌舞伎役者

いくら用意して、いくら借りるのか

開業費用の中央値は600万円。10人に4人は、開業前に予想した月商に届いていません。

フランチャイズの募集資料には「加盟金○○万円」と書いてあります。 ただ、それは開業にかかるお金の一部です。実際に用意する金額は、その何倍にもなることがあります。

開業した人は、実際にいくら使ったか

日本政策金融公庫が毎年、融資先の開業者に聞いている調査があります。 フランチャイズに限った数字ではありませんが、これから始める人が相場を知るには、信頼できる数字です。

項目2025年度
開業費用の中央値600万円
開業費用の平均975万円
250万円未満で開業した人20.1%
250万〜500万円未満で開業した人21.7%
開業時の資金調達額(平均)1,219万円
うち金融機関などからの借り入れ827万円(67.9%)
うち自己資金279万円(22.9%)

出典:日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」 jfc.go.jp。同公庫の融資先が対象。

半分の人は600万円以下で始めています。そして調達したお金の7割近くが借り入れです。 自己資金は平均279万円。平均で見ると、開業資金の7割近くを借りて始めていることになります。

予想した売上に、届いた人と届かなかった人

同じ調査で、開業前に予想していた月商と、実際の月商を比べています。

予想月商に対する実際の月商割合
50%未満10.5%
50〜75%未満16.6%
75〜100%未満14.2%
予想に届かなかった人の合計41.3%
100〜125%未満24.5%
125%以上34.2%

出典:同上(図-20)。調査時点の平均月商 ÷ 開業前に予想していた月商。

10人に4人は、予想に届いていません。10人に1人は、予想の半分にも届いていません。 それでも借りたお金の返済は、売上に関係なく毎月決まった額が来ます。 同じ調査で、現在の採算が「赤字基調」と答えた人は33.0%です。

ここから言えることは2つです。

1つ目。返済額は、予想月商ではなく、予想の半分の月商で計算しておく。 10人に1人はそこに入ります。自分がそこに入っても払える金額に抑えましょう。

2つ目。自己資金の割合を、平均より上げておく。 借りたお金には利息と返済期限があります。自己資金にはありません。 うまくいかない時期を耐えられる長さは、借入の少なさで決まります。

本部の説明会で出るモデル収支は、上で見た「予想に届かなかった4割」の側では作られていません。 予想の半分の数字を入れて、自分で計算し直しましょう。 計算のやり方は売上と経常利益の違いを押さえようの章にあります。

事業計画は、3つの場合で作ろう

初めて開業するときの事業計画は、できる限り創業セミナーなどに参加して、講師の方と相談しながら作り上げるのが一番いいです。

そこでは、次の3つの計画を用意するように指導されると思います。

計画中身
一番うまくいった場合予想どおり、またはそれ以上に注文が入ったとき
通常の場合ふつうに商売が回ったとき
最悪の場合(下位10%)うまくいかなかった10人に1人の側に入ったとき

そして、最悪の場合の計画でも日々の生活ができるように、事業計画を練り上げていきます。 上の調査で見た「予想の半分にも届かなかった10人に1人」が、この最悪の場合にあたります。決して大げさな想定ではありません。

こうして作った事業計画書は、日本政策金融公庫から借り入れをするときに、ほぼそのまま使えます。

私の場合

創業するときは、自己資金400万円、日本政策金融公庫からの借り入れ250万円で始めました。 借りる額を抑えて、毎月の支払いができる限り少なくなるようにしました。

項目私の場合開業した人の平均
自己資金400万円(約62%)279万円(22.9%)
借り入れ250万円(約38%)827万円(67.9%)
合計650万円1,219万円

開業した人の平均は、上と同じ日本政策金融公庫「2025年度新規開業実態調査」の資金調達額(平均)。平均の合計には、家族や知人からの借り入れなども含みます。