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株は今も買っている。ただ、増えるのは遅い

投資スクールの利益構造

投資を否定する話ではありません。私は株で稼ぎ、そのお金で不動産の頭金と、 ある商売の権利を買いました。株はいまも買い続けています。 ただ増えるのは遅い。だから稼ぎの主軸は別に置きました。 この「遅い」が、スクールの売り文句と正面からぶつかります。

1. 私が株で稼いだのは事実です

アベノミクスの相場で利益を出しました。そのお金で、最初に買った物件の頭金を払い、 ある商売の権利も買いました。実物に変わっているので、幻ではありません。

ただ、当時の自分の判断力が優れていたかというと、そうは思っていません。 あの時期は、多くの銘柄が上がりました。上げ相場で勝つのは難しくありません。 難しいのは、勝った理由が自分の腕なのか相場なのかを見分けることです。

2. 増えるのは、遅い

投資でお金が増える速さは、突き詰めると3つしかありません。

変数動かせるか
元手の大きさすぐには増やせない
利回り上げようとするとリスクが上がる
かける時間短くできない

元手が小さい人が短期間で生活を変えようとすると、利回りを上げるしかありません。 そして利回りを無理に上げる手段は、レバレッジか、値動きの荒いものに賭けるかです。 どちらも、当たれば大きく、外れれば退場します。それは投資というより賭けです。

投資は「増やす」ことはできる。
けれど「早く増やす」ことはできない。

この遅さは、悪いことではありません。時間をかければ確かに増えます。 ただそれだけで生活を変えようとすると、待つ年数が足りないのです。

そこで私は、稼ぎの主軸を事業と不動産に置きました。株をやめたのではありません。 いまも買い続けています。置く場所を増やして、それぞれに違う役割を持たせただけです。 自分が働けば結果が動く場所と、置いておけば時間が働く場所は、両方あっていい。

3. 「少額から」「短期で」を同時に言う商売

投資スクールの募集文を見ると、この2つがほぼ必ず並んでいます。 少額から始められて、短期間で成果が出る、と。

ところが上の3変数で見れば、少額かつ短期なら、利回りを極端に上げるしかありません。 それは高いリスクを取るということです。募集文にそう書いてあるものは、まず見ません。

ここを飛ばしたまま「手法」の話に入るのが、この商売の型です。

4. 私は優位性を見つけたつもりでした。検証したら消えました

自動売買のプログラムを自分で作って動かしていました。過去の値動きで試すと、 成績を示す指標が3を超えるものもありました。1でトントン、2で優秀とされる指標です。 かなり良い数字に見えました。

ところが、あとから気づきました。そのルールを作るときに使ったのが、成績を測ったのと同じ期間だったのです。 答えを見てから問題を解いていたようなものでした。

ルール作りに使っていない期間で測り直したら、こうなりました。

測り方成績指標
作成に使った期間(見かけの成績)3を超えることも
使っていない期間・過去16年分0.93
実際に資金を入れた運用0.94
毎日ただ買うだけ0.90

1を下回っているので、手数料を含めれば負け越しです。そして決定的だったのは最後の行です。 何も考えずに毎日買うだけの成績と、ほとんど変わりませんでした。 私が組み込んだ判断は、何も足していなかったことになります。

なぜ良い数字が出てしまうのか

候補をたくさん試すからです。実力がまったく無くても、20通り試せば、 そのうち8割以上は「良い成績」に見える結果を出します。偶然そう見えたものを選んでいるだけです。

怖いのは、誰も嘘をついていないのに、良い数字だけが手元に残ることです。 本人も騙されます。私がそうでした。

5. だから実績のスクリーンショットは、根拠になりません

スクールの募集ページには、口座の残高や損益のスクリーンショットが並びます。 画像そのものは本物かもしれません。それでも根拠になりません。理由は3つです。

6. 説明会で聞ける、3つの質問

その1 その成績は何年分ですか。下げ相場を含みますか

数か月や1年では、運と実力を区別できません。上げ相場しか含まない成績は、 上げ相場が続く限りしか通用しません。

その2 ルールを作った期間と、成績を測った期間は分けていますか

ここが分かれていない成績は、答えを見てから解いた点数です。 私が引っかかったのがこれでした。この質問に即答できないなら、その手法は検証されていません。

その3 受講生が全員同じ売買をしても、その優位は残りますか

投資では、同じ方向に人が増えるほど価格が動いて、優位は消えます。 本当に効く方法なら、人に配れば配るほど効かなくなります。配れるということは、 すでに効かなくなっているか、もともと効いていないかのどちらかです。

7. まともなやり方

8. いま私がどうしているか

株で得たお金は、不動産の頭金と、ある商売の権利に変えました。 そして株自体は、いまも買い続けています。やめた話ではありません。

変えたのは主従です。生活を動かす稼ぎは事業と不動産から取り、 株は時間をかけて増える側として置いています。急がせないぶん、無理な賭けにもなりません。

自動売買はいまも動かしています。ただし収益の柱としては数えていません。 上の検証で実力が見えてしまったからです。

では何のために続けているのか。資金の置き場所を探しているからです。 銀行に置いても、いまの金利ではほとんど増えません。かといって、 根拠のないものに預けるわけにもいきません。だから「預けられる置き場所になるかどうか」を 判断するためのデータを、いま測っている段階です。

稼ぐための運用ではなく、置き場所として成立するかを確かめるための計測です。 落とすために測っているので、良い数字が出ても信じません。 成立しないと分かれば、そこで終わりにします。

投資が悪いとは思いません。私はそこで得た資金で次に進めましたし、いまも続けています。 ただ「少額から、短期で、確実に」を同時に満たす方法は、構造上ありません。 それを売っている商売があるとしたら、売られているのは手法ではなく、期待のほうです。

遅いことは欠点ではありません。遅いと知ったうえで置いておけるかどうかが、 投資が続くかどうかの分かれ目だと思っています。